数字で見る補助金(1)~ものづくり補助金


国の予算から始まる補助金

ものづくり・商業・サービス補助金(以下「ものづくり補助金」と略)は、平成24年度補正予算から登場しました。開始以来、毎年度約2~3万件の応募があり、中小企業等を対象とした補助金の代表的なものとなっています。

現在、ものづくり補助金は以下のような事業スキームで運営されています。

<図1:補助金の事業スキーム>

最初に国で「ものづくり補助金」に割り当てる予算額が決定されます。「ものづくり補助金」の名称の頭についている“平成〇〇年度補正”の表記は、どの年度の予算に基づいているかを示したものです。
国会で承認された「ものづくり補助金」の予算が、事業実施団体である全国中小企業団体中央会に交付され、各都道府県の中小企業団体中央会を通じて、採択された中小企業等に交付されるという仕組みになっています。

予算額と採択の関係

国が決定する「ものづくり補助金」の予算が基になっている以上、第一に、その予算規模が採択数や採択率に影響してくるのではないか、と想像できます。

そこで、第1回からの実施結果(表1)を基に、予算額や他の条件が採択率にどのように関係しているか見てみます。

まず、予算額については、平成26年度実施(平成25年度補正、1,400億円)と平成29年度実施(平成28年度度補正、763.4憶円)を除くと、他の年度は1,000~1,100億円でほぼ同じです。
予算額はほぼ同じであるものの、各年度の全公募分を合計した総合採択率は29.8%(平成28年度実施)~50.7%(平成30年度実施)とかなり開きが見られます。

予算額だけで採択率が左右されるのではなく、他にも影響を与えている要素があるようです。

補助上限額と補助率に注目

次に、補助上限額と補助率を見てみます。
補助金額が増え、補助率も高ければ、1社当たりで予算を消化する金額が多くなり、結果、採択数が減り、採択率も低下するように思われます。

平成28年度実施分の公募は、予算額1,021億円で“最大補助上限額3,000万円・補助率2/3”という太っ腹な好条件でしたので、応募総数が約26,000件を超えています。その結果、総合採択率は29.8%という、かなり狭き門となってしまいました。

申請者にとっては補助金額と補助率が最大の関心事であり、これらの条件によって応募数がかなり変動すると言えるでしょう。

続く平成29年度実施分では、前年度と同じ“最大補助上限額3,000万円・補助率2/3”という好条件でした。しかし、前年度の反動なのか応募数は約15,500件に留まり、前年度の1回目よりも応募数が約9,000件も減ってしまいました。

そもそも、ものづくり補助金は、「設備投資等を支援することで、中小企業・小規模事業者の生産性向上を図り、国の経済発展に資する」ことを目的としています。
国は、将来性のある事業者を積極的に支援していきたいわけです。そのためにはまず多くの事業者に応募してもらう必要があります。
応募数自体が減ってしまうことは、国にとっては喜ばしいことではないように思われます。

その年度の予算内で、補助上限額と補助率を調整しながら、どのように応募意欲の湧く補助金にしていくか。毎回苦心して内容を設計されていることが、過去の実施状況から想像できるのではないでしょうか。

数字から予想する平成31年度二次公募の採択率

平成31年度の「ものづくり補助金」の二次公募がどの程度の採択率になるか考えてみましょう。
参考になるのは、予算額がほぼ同等で、補助額・補助率も同じだった、前年の平成30年度実施のものです。

二次公募の事前予告によると、今回の二次公募では受付方式が電子申請に完全移行するようです。これまでの、応募書類を大量に印刷し6冊のフラットファイルを作成する作業が無くなりますので、応募しやすくなることで応募数は増えるようにも想像できます。

応募数が増えると、狭き門となり採択率が下がる感じがあります。しかし、今年の一次公募の採択数は昨年度の一次公募時より約2,000件少ないため、二次公募に割り当てられる予算額は昨年よりも多く残っているように思われます。

総合採択率は昨年度と同程度の50%になることを前提とすると、電子申請により応募数が増えたとしても、二次公募の採択率は少なくとも昨年と同程度の39%になるかもしれません。

電子申請で応募がしやすくなり、かつ予算も多く残っているであろうことを考えると、二次公募に申請してみる価値は十分にあるのではないでしょうか。

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川井先生、有難うございました。

2次公募がちょうど現在公募開始となっています。
https://www.chuokai.or.jp/hotinfo/mono-192koubo20190819.html?fbclid=IwAR3-L61ptEYOb767xnm1xl7ahoVT2PvGf_czqbKDbpYKqMMzXBxjV5DacmY

川井先生はじめ、専門家へのお問い合わせには以下のリンクをご利用ください。
https://ssl-global.info/contact/contact-logs/index/2512493636265262?domain=minna.marketing-cms.com&fbclid=IwAR2bSzDEC17tJUrfpggM7aCAGqjqTYefSlFBe5MduMw3DBRnxctmER6ewVU

数字で見る補助金(2)~小規模事業者持続化補助金

 

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