
弁理士のヤマダです。
特許の取得を検討する上で、まず行わなければならないのが特許調査です。
他社の特許出願の状況、特許取得の状況を調査し、それらの技術との差別化を図らなければ特許の取得が難しくなるからです。
今日はその特許調査の費用の一部を助成してくれる、東京都知的財産総合センターの「特許調査費用助成事業」を紹介します。
● 特許調査費用助成事業とは
中小企業者が製品の開発戦略を策定したり、特許出願の戦略を策定したりする目的で、特許事務所や調査会社に他社の特許調査を依頼した場合に、その費用の一部について助成金を交付する事業です。
以下、この助成事業の概要を説明します。
特許調査費用助成事業の概要
● 対象者
東京都内の中小企業者(会社及び個人事業者)です。資本金額と従業員数の条件に加えて、大企業が実質的に経営に参画していない、という条件を満たす必要があります。
● 助成 内容
助成率は対象経費の1/2以内、助成金の限度額は100万円です。
● 助成対象経費
特許事務所や調査会社に他社の特許調査を委託した際に要する経費です。
調査の目的および内容は以下の4つに限られます。
- 開発戦略の策定(他社特許の調査、パテントマップ作成、特許出願動向の分析)
- 特許の出願戦略の策定(他社特許の調査、パテントマップ作成、特許出願動向の分析)
- 継続的なウォッチング(検索式の作成・改良、特許出願動向の調査)
- 侵害予防(他社特許調査、特許無効化のための調査)
助成対象は助成金申請日以降に契約し、支出した経費に限られます。既に開始している調査に要した費用は対象となりません。
● 助成対象期間
随時受け付けていますが、予算がなくなり次第、受け付けを終了します。
担当者に確認したところ、予算にはまだ余裕があるそうです(平成29年5月31日現在)。
● 助成を受けるための手続き
まず、東京都知的財産総合センターで申請内容について相談してください(事前予約要)。
その後、事前予約の上、申請書、その他の書類を東京都知的財産総合センターに直接提出してください(郵送では書類を受け付けてもらえません)。
担当者によると、相談の際に、①申請書のドラフト、②調査を依頼する予定の特許事務所や調査会社の見積書を持っていくと話がスムーズに進むそうです。
②の見積書に関しては、調査費用が助成対象(4つの目的と内容)に合致していることが分かるように記載されていることが望ましいということでした。
この助成金のユニークなところは、特許の出願費用ではなく、調査費用が助成対象となっている点です。
特許調査は特許戦略の基本中の基本ですので、これから特許戦略を立ててビジネスを展開していきたい企業様はぜひご検討ください!
東京都知的財産総合センター 特許調査費用助成事業(平成29年度)特許調査費用助成事業(平成29年度)