「意匠制度をうまく使おう」
「実用新案がダメなのはわかったけど、やっぱり特許は高いよ…。」
そんなあなたにおススメしたいのが意匠です。意匠制度は物のデザインを登録する制度です。
ただ、デザインと言っても工業デザインです。例えば、洋服、腕時計、アクセサリーのような高いデザイン性を求められる物品ばかりが対象となるわけではありません。
下のページには意匠登録の対象となる物品が例示されています。
意匠登録出願における『物品の区分』一覧表(fragment.database.)
第1区分には「ソーセージ、アイスクリーム、かまぼこ…」、第38区分には「自動電圧調整器、電力用変圧器、誘導電圧調整器…」など、一見、デザインとは無縁の物品が挙げられています。実に様々な物品が意匠登録の対象になっているということです。
意匠制度は、実用新案制度のように技術的なアイデアを登録する制度ではありません。しかし、意匠制度は実用新案制度と同じように、物の形状について登録することができる制度です。
考え方によっては、物の形状に関する技術的なアイデアを物の形状に関するデザインとして登録することができる場合もあるのです。
例えば、特殊な溝形状の自動車タイヤを新たに開発したとしましょう。このタイヤの「スリップしにくい」という点(技術的効果)に着目すれば、実用新案登録の対象となり得ます。
でも、「溝のパターンが斬新でカッコイイ!」という点(デザイン性)に着目するならば、意匠登録の対象ともなり得るのです。
頭を柔らかくして、物を多面的に見ることが大事です。
そのような考え方が知財戦略の幅を広げることにつながります。
次回は特許、実用新案、意匠の違いと、意匠制度のメリットについてお話しします。【(3)へつづく】