【注目の大型補助金 】事業再構築補助金ここがポイント!(1)


2021年、新たな補助金が登場します。
注目の「事業再構築補助金」とは?株式会社NewBeginningsJapanの中牟田康先生に連載して頂きます。

この記事は、こんな方におすすめ
・事業の再構築を考えている
・思い切って新分野に進出したい


予算額1兆円超、1社あたりの補助金額最大1億円、補助率2/3という大型補助金として、いま話題の「事業再構築補助金」。補助金のプロの視点から、話題の補助金の重要ポイントを解説します。1回目は「目的、補助対象」について紹介します。

本記事の内容は、中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」において公表されている資料(最終更新日:2021年1月6日)に基づいて作成したものです。「事業再構築補助金」は令和2年度3次補正予算案において実施予定のものです。今後、事業内容が変更等される場合があります。

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【目的】事業再構築への思い切った取組・挑戦を支援

まず、現在公表されている資料では次のような文言が書かれています。

  • ポストコロナ・ウイズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための企業の思い切った事業再構築を支援
  • 新分野転換や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す、企業・団体等の新たな挑戦を支援
    (※下線は当社による)

このような“思い切った事業再構築”、“新たな挑戦”の支援が、この事業再構築補助金の事業目的だと推察されます。
言い換えると、事業再構築補助金を申請する企業には“思い切った、新たな挑戦”が求められると言えるでしょう。
申請に際しては、例えば次のような点が求められるかもしれません。

  • 再構築等の取組を行わなければならない状況・理由
  • 再構築と呼ぶに値する中核事業の根本的な転換
  • 再構築を確実に実現できる入念な事業計画

【対象要件①】中小企業、団体、中堅企業が対象

公開資料では、対象者として中小企業と中堅企業が挙げられ、それぞれについて申請枠(通常枠、卒業枠、グローバルV字回復枠)が設けられる計画になっています。

まず、中小企業の範囲については中小企業基本法の定義と同様とされています。中小企業の定義は下記図のようになります。

また、中小企業基本法や中小企業等経営強化法における「中小企業者の定義」では、“会社及び個人”となっていますので、補助対象者には中小企業、小規模事業に加え、個人事業主も含まれる可能性もあると思われます。

中堅企業の範囲(定義)については現時点では不明です。中小企業基本法の改正も絡んで、「中堅企業」の定義が公募要領において示されると思われます。団体としては、ものづくり補助金のように組合関連(企業組合、協業組合等)や特定非営利活動法人が補助対象者に含まれるかもしれません。

業種 中小企業者
(下記のいずれかを満たすこと)
小規模事業者
資本金の額
又は出資の総額
常時使用する
従業員の数
常時使用する
従業員の数
①製造業、建設業、運輸業、
その他の業種(②~④を除く)
3億円以下 300人以下 20人以下
②卸売業 1億円以下 100人以下 5人以下
③サービス業 5,000万円以下 100人以下 5人以下
④小売業 5,000万円以下 50人以下 5人以下

図出展:中業企業庁FAQ「中小企業の定義について」

【対象要件②】売上減少の事実、事業計画の策定等が必要

事業再構築補助金の申請に当たっては、次の3つの要件をすべて満たすことが求められています。

  • 申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等。
  • 事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等。
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成。

(1)の売上高減少要件については適用期間と減少幅が明確に定められています。“コロナ以前”というのが、いつの時点を基準とするのか現時点では分かりませんが、申請時点においても売上がまだ十分に回復できていないことが必要になると思われます。また、減少を証明する資料(売上台帳等)の提出が求められるかもしれません。

(2)においては、認定支援機関や金融機関の協力を得て、事業計画を策定し取組んでいくことが求められています。したがって、事業再構築補助金の申請を考える企業等においては、事前に認定支援機関を探したり、取引先金融機関に相談したりしておいた方が良いと思われます。提出する事業計画書には、協力を得る認定支援機関や金融機関の名称、取組を実施していく際の役割等を記入することが求められるかもしれません。

(3)の付加価値額の増加要件は、ものづくり補助金においても定められています。

「付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費」です。つまり、申請する企業等には“設備投資等の取組を行い、利益を上げ、人も増やす”ことが求められます。したがって、それ相応の高い収益や成長が見込めるような事業計画が求められると思われます。この付加価値額の増加は重要なポイントになります。取組の成果として確実な売上・収益が見込まれ、またその実現性も高いと納得できる事業計画を策定する必要があると考えられます。

次回(2回目)は、事業再構築補助金の補助金額・補助率、補助対象経費について解説します。

<参考資料>

■中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」 事業再構築補助金に関するお知らせページ
https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/11458/

事業再構築補助金に関する公開資料(2021年1月6日)

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