外食産業事業成長支援補助金とは?
補助金の概要
外食産業事業成長支援補助金をご存じですか?外食産業事業成長支援補助金は、外食事業者における需要の変化や労働力不足などの経営上の課題解決に向けて、テイクアウト・デリバリーをはじめとする新たなサービスを提供するなどの前向きな取組を支援し、業態転換等の優良事例の収集も行うことを目的としている補助金になります。
この記事では、補助金の概要や条件、申請期限や申請方法、補助金を受けることができる業態や事業の種類などについて詳しく解説します。外食産業で事業成長や業態転換を考えている方は必見です。それでは、実際に外食産業事業成長支援補助金の概要について見ていきましょう。
補助金を受けるための要件
補助金を受けるためには、いくつかの要件があります。全てを満たしている場合にのみ申請が出来ます。
・飲食店であること(「飲食店営業」又は「喫茶店営業」の許可を得ていること)(任意団体や収益事業を行っていない法人などいくつか除外要件あり)
・令和3年1月1日以前から現在(申請時点)まで飲食店としての事業活動を営んでおり、令和3年度と令和4年度の売上高を比較したときに、売上伸長率が115%以下であること。ただし、対前年度比115%を超える者であっても、新型コロナウイルス感染症拡大以前の令和元年度比で令和4年度の売上伸長率が100%以下の事業者は対象とする。
・飲食店事業以外の事業も営んでいる場合は、令和4年度の飲食店事業の売上割合が70%以上であり、飲食店事業とその他事業を区分した売上・経費を証明できること。
・資本金が5000万円以下又は従業員数が50人以下であること。または、資本金の額又は出資の総額が10億円未満(資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、従業員数が2000人以下)の法人であること(除外要件あり)。
・他の補助金の交付を受けていないことなど条件があります。
今回の補助金のポイントは、「共同事業者」が必要になります。つまり、資本関係にない他の飲食店等であって、事業成長のために事業実施者と共同して事業の計画及び実施内容の検討、実施・報告支援を行う事業者と組んで申請する必要があります。例えば、コンサルタント、金融機関、中小企業診断士、機械・機器・システムの製造・販売業者、施設・設備の建設・施工業者などがあげられます。
補助金の対象となる事業について
対象となる事業としては、2つの類型があります。どちらの業態転換で行くか、よく考えて申請しましょう。
① 現在扱っている商品・サービスの内容を変えること
例:居酒屋から焼肉店に転換する テイクアウト・デリバリー用のメニューを開発する 新しい食材とメニューで新たな顧客を獲得するなど。
② 商品・サービスの提供方法を変えること
例:イートインからテイクアウトを拡大するため販売窓口を設置する キッチンカーを改装し、店舗外での販売を強化する 店舗での人気商品を EC サイトで全国に販売するなど。
補助金の金額や対象となる費用について
外食産業事業成長支援補助金の補助率及び下限・上限額は以下の通りです。
補助率:1/2 以内
補助金下限:100 万円/事業者
補助金上限:1,000 万円/事業者
※補助金額については、仮に採択されたとしても、補助対象経費等の精査により減額される場合があります。
対象となる費用は以下の通りです。
【事業費】
(1)建物費
(2)機械装置・システム構築費
(3)技術導入費
(4)運搬費
(5)広告宣伝・販売促進費
(6)研修費
【委託費】
本事業を遂行する上で、特殊な知識・技術等を必要とする場合に、 事業の一部を、能力を有する第三者に委託する場合に経費として計上できます。
※1:上記、事業費(1)~(6)に含まれない委託費
※2:共同事業者以外に委託する場合、あらかじめ事業計画に織り込んでください
※3:事業計画に含まれない事後的な委託費は含まれません
外食産業事業継続緊急支援対策事業の申請方法
申請期限や申請方法について
- 申請期限:2023年5月31日 ※かなり日程がタイトなので注意が必要です。
- 申請方法
- ①以下のリンクから、事業者基本情報登録(応募IDの発行)を行います。 **令和4年度補正 外食産業事業成長支援補助金(一次) 応募ID発行サイト 必要事項を入力し送信すると、登録されたメールアドレスに、IDおよびパスワード設定と資料提出サイトのURLが記載されたメールが届きます。
- ②公募要領に定める提出様式や資料が揃ったら、①のメールのリンクからログインし 資料の提出(アップロード)を行って、応募を完了してください。
申請に必要な書類や提出先について
外食産業事業成長支援補助金の必要書類は以下の通りです:
補助事業申請書(様式1)
事業計画書(様式2)
実施スケジュール(様式3)
経費内訳書(様式4)
見積書及び選定理由書
事業実施者の会社概要、店舗概要
共同事業者の会社概要・支援計画書
売上比較表(別紙様式5)
財務諸表あるいは確定申告書
飲食店営業等の許可書
等 が必要になります。
外食産業事業継続緊急支援対策事業の申請のポイントとは?
申請の前に気を付けるべきポイント
まずは、応募事業者の要件をすべて満たしているかどうか確認してください。また、今回の補助金は下限が100万円ですので、合計で200万円以上の経費を使う事業計画である必要がありますので注意しましょう。そのうえで、公募審査基準に合致した事業計画を作成することが最大のポイントです。
公募審査基準は次の通りです。
1.事業内容
①事業内容が、事業成長を行うための施策として明確かつ具体的になっているか。
②事業内容に見合った経費で、精度の高い積算がなされているか。
③事業内容が、単に自社に対してだけではなく、優良事例として広く普及が期待できるものであるか。
2.実施方法
④実施スケジュールが、事業を効率的に進め、本事業の期間内に無理なく完了させる内容となっているか。
⑤事業を着実に実施できる体制(共同事業者の支援内容を含む。)を有しているか。
⑥事業を着実に実施できる経営(財務)基盤を有しているか。
3.成果目標
⑦事業の成果目標の設定理由およびその水準(定量値)が妥当か。
⑧成果目標を検証できる仕組みが講じられているか。 (例えば、データの取得・検証方法など)
採択率を上げるには?
この補助金は、農林水産省が展開している補助金であり、外食事業者が業態転換する際の優良事例の収集も行うことを目的としています。公募要領には特に加点項目はありませんが、上記の通り、業態転換の好例になるような事業ですと、採択の可能性は高まりそうです。例えば、以下のような事例が挙げられます。
- ・誰でも簡単本格手打ちそばミールキットを用いたテイクアウト・ECサイトへの進出
- ・テイクアウトを含めたケーキ販売体制の強化により、アイドルタイム以降の売上増加を図る
- ・店舗で人気の本格ナポリピッツァを、新たにデリバリー販売開始
- ・コロナ禍の影響が小さい個室を中心とした焼き肉店の展開
- ・店舗経営における看板メニューを活かし、キッチンカー、ECサイト、テイクアウト業態などへと拡大
- ・既存カフェ店舗の内装を活かし、韓国料理/スイーツの映え系テイクアウト事業への事業転換
- ・角打ち居酒屋を、⾧期的な店舗展開を見据えたメニュー強化・発信強化・店内改装等によって、看板メニューを中心とした食事メインの店舗へと転換
- ・ファミリー向けのパン・軽食系カフェを、おひとりさまやテイクアウトに対応した創作料理店に転換
- ・インバウンドを地域活性化につなげるためのDX化を推進 体験型地産地消新メニュー開発と労働生産性&売上アップ事業
まとめ
外食産業事業成長支援補助金の概要や申請のポイントに関してご理解いただけたかと思います。対象となる経費が幅広く、新しい取り組みを検討されている飲食店にとっては魅力的な補助金です!応募の締め切りが2023年5月31日に迫っていますので、興味のある方はお早めに詳細をチェックしてみてください。