
2021年、新たな補助金が登場します。
注目の「事業再構築補助金」とは?株式会社NewBeginningsJapanの中牟田康先生に連載して頂きます。
この記事は、こんな方におすすめ
・事業の再構築を考えている
・思い切って新分野に進出したい
前回の記事はこちら
予算額1兆円超、1社あたりの補助金額最大1億円、補助率2/3という大型補助金。
それが、いま話題の「事業再構築補助金」です。
補助金のプロの視点から、話題の補助金の重要ポイントを解説します。
2回目は「補助金額・補助率」について。
「事業再構築補助金」は令和2年度3次補正予算案において実施予定のものです。
今後、事業内容が変更等される場合があります。
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【中小企業】2つの補助枠、最大1億円・補助率2/3
事業再構築補助金では、補助対象者を中小企業と中堅企業の2つに分け、それぞれについて2種類の補助枠が設定されています。
まず、補助対象者が中小企業の場合は「通常枠」と「卒業枠」の2種類があります。
種類 | 補助金額 | 補助率 |
通常枠 | 100万円~6,000万円 | 3分の2 |
卒業枠 | 6,000万円超~1億円 | 3分の2 |
通常枠とは
「通常枠」においては補助金額が最大6,000万円、補助率が3分の2となっています。ものづくり補助金と比べると補助金額は6倍。補助率も高く、大掛かりな投資計画にも対応できるのではないでしょうか。
卒業枠とは
「通常枠」を上回る設定となっているのが「卒業枠」です。補助金額が最大1億円、補助率も3分の2となっており、中小企業対象の補助金としては思い切った好条件と言えます。“中小企業の事業再構築を促し強い企業に生まれ変わらせたい”という、国の強い意図が込められているのではないでしょうか。
但し、この「卒業枠」には次のような条件が付けられています。
- 400社限定
- 事業計画内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかを実施
- 資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業に成長する
まず、400社限定となっています。
限定数が各年度の設定なのか、それとも複数年度にわたってのものなのか、現時点では不明です。
採択社数が限定されますので、申請するのであれば早い方が良いかもしれません。
事業計画の3つの類型(①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開)の具体的な内容は、公募要領が公開されないとわかりません。
類型の中身とは
①組織再編とは、会社法(第五編)では“組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転”の4種類が規定さています。事業再構築促進補助金の①組織再編においても、会社法の規定を参考にすることは考えられるかもしれません。
②新規設備投資は、読んで字のごとく、ものづくり補助金と同じように機械装置の購入やシステム構築費が該当してくるのではないでしょうか。
③グローバル展開は、ものづくり補助金で実施されているグローバル展開型が参考になるかもしれません。
ものづくり補助金のグローバル展開型では4つの類型(海外直接投資、海外市場開拓、インバウンド市場開拓、海外事業者との共同事業)が設けられています。事業再構築促進補助金のグローバル展開型も、このものづくり補助金のグローバル展開型の4類型に似た内容になるかもしれません。
次に、事業計画の実施によって、資本金又は従業員を増やすことで中小企業から中堅企業になることが求められています。中小企業の定義は中小企業基本法に定められています。したがって、この中小企業の定義よりも資本金又は従業員を増やすことが、“卒業枠”の要件だと考えられます。
【中堅企業】2つの補助枠、最大1億円・補助率1/2
次に、補助対象者が中堅企業の場合は「通常枠」と「グローバルV字回復枠」の2種類があります。
種類 | 補助金額 | 補助率 |
通常枠 | 100万円~4,000万円 | 2分の1 |
4,000万円超~8,000万円 | 3分の1 | |
グローバルV字回復枠 | 8,000万円超~1億円 | 2分の1 |
中堅企業が対象の「通常枠」では補助金額が最大8,000万円と、中小企業対象のものよりも補助金額が大きくなっています。補助金額が大きくなった分、補助率は3分の1または2分の1と低くなっています。
多くの補助金制度は中小企業・小規模事業者を対象としていますので、規模の大きな企業も補助金を活用できるようになることは歓迎できます。
グローバルV字回復枠とは
中堅企業を対象としたタイプでも、「グローバルV字回復枠」という補助金額最大1億円の特別枠が設けられています。
但し、この「グローバルV字回復枠」にも次のような条件が付けられています。
- 100社限定
- 次の3つの要件をすべて満たすこと
- 直前6か月間のうち任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業。
- 補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率0%以上増加を 達成すること。
- グローバル展開を果たす事業であること。
中小企業対象のものよりも少ない100社限定となっています。
こちらの限定数も各年度の設定なのか、それとも複数年度にわたってのものなのか、現時点では不明です。
採択社数が少ないので、こちらも申請するのであれば早い方が良いかもしれません。
①の売上減少要件、②の付加価値額増加要件については、事業再構築補助金の標準要件よりも厳しくなっています。“V字回復枠”という名称の通り、大きな売上減少からの力強い回復が求められるように思われます。
③のグローバル展開事業については、中小企業対象卒業枠の申請類型のグローバル展開と同じ内容になるのではないでしょうか。
次回(3回目)は、補助対象経費と活用例について解説します。
<参考資料>
■中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」 事業再構築補助金に関するお知らせページ
https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/11458/