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【注目の大型補助金】事業再構築補助金、ここがポイント!(3)

2021年、新たな補助金が登場します。
注目の「事業再構築補助金」とは?株式会社NewBeginningsJapanの中牟田康先生に連載して頂きます。

この記事は、こんな方におすすめ
・事業の再構築を考えている
・思い切って新分野に進出したい

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予算額1兆円超、1社あたりの補助金額最大1億円、補助率2/3という大型補助金。
それが、いま話題の「事業再構築補助金」です。
補助金のプロの視点から、話題の補助金の重要ポイントを解説します。

2回目は「補助金額・補助率」について。

本記事の内容は、中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」において公表されている資料(最終更新日:2021年1月20日)に基づいて作成したものです。
「事業再構築補助金」は令和2年度3次補正予算案において実施予定のものです。
今後、事業内容が変更等される場合があります。
【お問い合わせについて】
自社の申請の可能性、スケジュール等のお問い合わせには現時点でお答えすることができません。
予めご了承ください。

【補助対象経費】建築関係、広告販促費も補助対象

事業再構築補助金では、補助対象となる経費例として次のようなものが挙げられています。

<補助対象経費>

  • 建物費、建物改修費
  • 設備費、システム構築費
  • 外注費(加工、設計等)
  • 研修費(教育訓練費等)
  • 技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
  • 広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)

これらの経費例の中で特徴的なのが「建物費、建物改修費」です。ものづくり補助金になかった新しい経費項目になります。

事業再構築に伴って、新たに店舗・施設を建設したり、既存の店舗・施設を新たな事業用に改修したりする費用が補助対象になると考えられます。建築関連費用は高額なることが多いでしょうから、補助対象になるのは嬉しいですね。

「設備費」と「システム構築費」は、ものづくり補助金における「機械装置・システム構築費」と同じ内容ではないでしょうか。

「設備費」は専ら補助事業のための使用する機械・装置・工具・器具の購入・製作・借用に要する経費、「システム構築費」は専ら補助事業のための使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築・借用に係る経費となるのではないかと思われます。

また、公表されている活用例を見ると、新規の機械装置の導入だけでなく、既存設備の撤去にかかる経費も補助対象になるようです。

研修費(教育訓練費等)も、ものづくり補助金にない新しい経費項目です。事業再構築において新しい事業を開始するとなれば、従事する従業員への教育訓練も必要になるでしょう。外部の専門家を招いての研修やコンサルティングに要する経費が補助対象となるのではないでしょうか。

「広告宣伝費・販売促進費」が、ものづくり補助金特別枠と同様に補助対象となっています。新規事業の立ち上げでは、新たな顧客の獲得や販路の開拓には広告販促が必須となります。これらが補助対象となることで、思い切った広告展開が可能になるように思えます。

【活用例】

公表資料では3つの業種を例に事業再構築補助金の活用を紹介しています。

1:小売り業

事業計画 衣服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で客足が減り、売上が減少 ↓↓

店舗での営業規模を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に転換

補助経費 ■店舗縮小にかかる店舗改修の費用
■新規オンラインサービス導入にかかるシステム構築の費用

2:製造業

事業計画 航空機部品を製造していたところ、コロナの影響で需要が減少 ↓↓

当該事業の圧縮・関連設備の廃棄等を行い、ロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立上げ

補助経費 ■事業圧縮にかかる設備撤去の費用
■新規事業に従事する従業員への教育のための研修費用

3:飲食業

事業計画 レストラン経営をしていたところ、コロナの影響で客足が減り、売上が減少 ↓↓

店舗での営業を廃止。オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応

補助経費 ■店舗縮小にかかる建物改修の費用
■新規サービスにかかる機器導入費や広告宣伝のための費用など

1回目の解説で述べたように、この事業再構築補助金は新分野への展開、業態転換、事業・業種の転換、事業再編の取組を支援するものとなっています。

コロナの影響を受けて売上が減少したことを前提に、新しい事業・業種・業態を始める取組、さらには既存事業の思い切った再編による新事業の開始など、会社自体を生まれ変わらせるような計画が、この事業再構築補助金の対象になるように思えます。

次回は、最新のリーフレットに紹介されているさまざまな業種(飲食・小売業・サービス・製造・運輸・食品製造・建設・情報処理)での活用イメージ15例について取り上げます。

<参考資料>

■中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」 事業再構築補助金に関するお知らせページ

https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/11458/

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【注目の大型補助金 】事業再構築補助金ここがポイント!(2)

2021年、新たな補助金が登場します。
注目の「事業再構築補助金」とは?株式会社NewBeginningsJapanの中牟田康先生に連載して頂きます。

この記事は、こんな方におすすめ
・事業の再構築を考えている
・思い切って新分野に進出したい

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予算額1兆円超、1社あたりの補助金額最大1億円、補助率2/3という大型補助金。
それが、いま話題の「事業再構築補助金」です。
補助金のプロの視点から、話題の補助金の重要ポイントを解説します。

2回目は「補助金額・補助率」について。

本記事の内容は、中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」において公表されている資料(最終更新日:2021年1月20日)に基づいて作成したものです。
「事業再構築補助金」は令和2年度3次補正予算案において実施予定のものです。
今後、事業内容が変更等される場合があります。
【お問い合わせについて】
自社の申請の可能性、スケジュール等のお問い合わせには現時点でお答えすることができません。
予めご了承ください。

【中小企業】2つの補助枠、最大1億円・補助率2/3

事業再構築補助金では、補助対象者を中小企業と中堅企業の2つに分け、それぞれについて2種類の補助枠が設定されています。

まず、補助対象者が中小企業の場合は「通常枠」と「卒業枠」の2種類があります。

種類 補助金額 補助率
通常枠 100万円~6,000万円 3分の2
卒業枠 6,000万円超~1億円 3分の2

通常枠とは

「通常枠」においては補助金額が最大6,000万円、補助率が3分の2となっています。ものづくり補助金と比べると補助金額は6倍。補助率も高く、大掛かりな投資計画にも対応できるのではないでしょうか。

卒業枠とは

「通常枠」を上回る設定となっているのが「卒業枠」です。補助金額が最大1億円、補助率も3分の2となっており、中小企業対象の補助金としては思い切った好条件と言えます。“中小企業の事業再構築を促し強い企業に生まれ変わらせたい”という、国の強い意図が込められているのではないでしょうか。

但し、この「卒業枠」には次のような条件が付けられています。

  • 400社限定
  • 事業計画内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかを実施
  • 資本金又は従業員を増やし、中小企業から中堅企業に成長する

まず、400社限定となっています。
限定数が各年度の設定なのか、それとも複数年度にわたってのものなのか、現時点では不明です。
採択社数が限定されますので、申請するのであれば早い方が良いかもしれません。

事業計画の3つの類型(①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開)の具体的な内容は、公募要領が公開されないとわかりません。

類型の中身とは

①組織再編とは、会社法(第五編)では“組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転”の4種類が規定さています。事業再構築促進補助金の①組織再編においても、会社法の規定を参考にすることは考えられるかもしれません。

②新規設備投資は、読んで字のごとく、ものづくり補助金と同じように機械装置の購入やシステム構築費が該当してくるのではないでしょうか。

③グローバル展開は、ものづくり補助金で実施されているグローバル展開型が参考になるかもしれません。

ものづくり補助金のグローバル展開型では4つの類型(海外直接投資、海外市場開拓、インバウンド市場開拓、海外事業者との共同事業)が設けられています。事業再構築促進補助金のグローバル展開型も、このものづくり補助金のグローバル展開型の4類型に似た内容になるかもしれません。

次に、事業計画の実施によって、資本金又は従業員を増やすことで中小企業から中堅企業になることが求められています。中小企業の定義は中小企業基本法に定められています。したがって、この中小企業の定義よりも資本金又は従業員を増やすことが、“卒業枠”の要件だと考えられます。

【中堅企業】2つの補助枠、最大1億円・補助率1/2

次に、補助対象者が中堅企業の場合は「通常枠」と「グローバルV字回復枠」の2種類があります。

種類 補助金額 補助率
通常枠 100万円~4,000万円 2分の1
4,000万円超~8,000万円 3分の1
グローバルV字回復枠 8,000万円超~1億円 2分の1

中堅企業が対象の「通常枠」では補助金額が最大8,000万円と、中小企業対象のものよりも補助金額が大きくなっています。補助金額が大きくなった分、補助率は3分の1または2分の1と低くなっています。

多くの補助金制度は中小企業・小規模事業者を対象としていますので、規模の大きな企業も補助金を活用できるようになることは歓迎できます。

グローバルV字回復枠とは

中堅企業を対象としたタイプでも、「グローバルV字回復枠」という補助金額最大1億円の特別枠が設けられています。
但し、この「グローバルV字回復枠」にも次のような条件が付けられています。

  • 100社限定
  • 次の3つの要件をすべて満たすこと
  • 直前6か月間のうち任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して、15%以上減少している中堅企業。
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額又は従業員一人当たり付加価値額の年率0%以上増加を 達成すること。
  • グローバル展開を果たす事業であること。

中小企業対象のものよりも少ない100社限定となっています。
こちらの限定数も各年度の設定なのか、それとも複数年度にわたってのものなのか、現時点では不明です。
採択社数が少ないので、こちらも申請するのであれば早い方が良いかもしれません。

①の売上減少要件、②の付加価値額増加要件については、事業再構築補助金の標準要件よりも厳しくなっています。“V字回復枠”という名称の通り、大きな売上減少からの力強い回復が求められるように思われます。

③のグローバル展開事業については、中小企業対象卒業枠の申請類型のグローバル展開と同じ内容になるのではないでしょうか。

次回(3回目)は、補助対象経費と活用例について解説します。

 

<参考資料>

■中小企業向け補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」 事業再構築補助金に関するお知らせページ

https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/11458/