助成金コラムをご覧の皆さん、こんにちは!クロスリンク特許事務所のヤマダです。
今回も前回に引き続き、ものづくり系中小企業のB to BからB to Cへの転換がテーマです。
「B to Bビジネスの問題を打破するには?」
展示会で色々な企業の方とお話をしてみると、B to Bビジネスの問題を打破する方向性として、以下の2つの方向性があるように見えました。
(1)B to Bビジネスを極める
徹底的な合理化を図ることによって、発注元からのコストダウン要請に応え、部品供給メーカーとして生き残っていく、という方向性です。今回の展示会では、加工製品を自動車バッテリー用のキャップに絞り込み、高度な加工を自動化・無人化して製造装置を24時間稼働させ、徹底的な合理化によってコストダウンを図っている企業がありました。
この企業は国内シェアの6割以上を獲得し、東南アジアにも製造拠点があるそうです。勢いを感じますね!
(2)B to BビジネスからB to Cビジネスに転換する
自分たちの高度な加工技術を活かして自社製品を開発し、企業ではなく一般の消費者に対して売り込んでいく、という方向性です。いわゆるB to C(個人相手)のビジネスですね。今回の展示会では、高度な金属加工の技術を活かしてキッチンツールを開発している企業がありました。B to Cのビジネスは、発注元の事情に左右されず、自分たちで仕掛けていくことができるのが魅力です。加工業者の新たなビジネススタイルとして要チェックですね!
「『すみだモダン』は、B to Cビジネスの好例」
最後に、加工業者のB to Cビジネスのモデルとなりそうな取り組み「すみだモダン」を紹介します。「すみだモダン」は、東京都墨田区が推進する地域ブランド戦略の一つです。
古き良き江戸の風情と、最先端の東京スカイツリーが混在するものづくりの町「すみだ」が、ちょっとなつかしく、そしてあたらしい製品を「すみだモダン」として認証し、ブランド化していく取り組みです。
下の写真をご覧ください。これは「kaico」というブランドのケトルです。金属のプレス加工会社である昌栄工業が製造し、すみだモダン2014に認証されました。
2014年「すみだモダン」商品部門認証商品一覧より
シンプルなデザインのケトルに見えますが、底に向かって広がる円錐台型のフォルムは製造が難しく、今まであまりなかったデザインとのこと。外部デザイナーが創り出したモダンなデザインを、昔かたぎの職人が高度な金属プレスの技術で実現する。
新しいデザインと、伝統的な技術がガッチリ手を組んだものづくりの新しい形態、ものづくりの未来を示した一品です。
このように、高度な加工技術を製品形態に落としこむができれば、意匠登録などの道も開けるはずです。
今日のポイント
1.B to Bを極めることで、部品供給メーカーとして生き残っていくことができる。
2.B to Cは、発注元の事情に左右されず、自分たちで仕掛けていくことができる。
3.高度な加工技術を製品形態に落としこむができれば、意匠登録などの道も開ける。
おまけ
「すみだモダン」には、他にもたくさんの商品が認証されています。ご興味がある方は、こちらをご覧ください。
山田先生、有難うございました!「すみだモダン」のロゴ、とってもおしゃれですし、ものづくりに強い墨田区の良いブランディングになっていますね。ものづくり補助金での、特定基盤技術に「ものづくり」が追加され、これからのビジネスモデルであると言えそうです。(白石/みんなの助成金 運営事務局)