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経済産業省系補助金(ものづくり補助金等)採択のポイント(4) ~強さが際立つと、弱みが目だつ~

経済産業省系補助金(ものづくり補助金等)採択のポイント(1)~風が吹けば、桶屋が儲かる~

経済産業省系補助金(ものづくり補助金等)採択のポイント(2)~百文は一図に如かず~

経済産業省系補助金(ものづくり補助金等)採択のポイント(3)~良い機会があるから、良い機械~

補助金を使ってやりたいことを冷静に検証する視点とは?

前回の「採択のポイント(3)」では、下図のストーリーのうち、①と②⇔③について説明しました。
今日は、④について説明します。
もう一度、業績アップのストーリーを図で示します。

レーダーチャートを考えてみる ~すべてカンペキの事業はない~

補助金を考えている事業者に対して、下図にて説明することがあります。
その際に、新規性と実現性はトレードオフの関係にあることをお伝えしています。

すなわち、

  1. 新規性が高い事業は実現性が低い
  2. 実現性が高い事業は新規性が低い という傾向があります。

ケース1

例えば「新技術・新事業で売上が倍になる!」という社長の意気込みを聞いているとしましょう。
「そのための営業体制は大丈夫だろうか?」と不安になります。
このケースは①に該当します。
そして、この場合は、営業体制をきっちり考える必要があります。
売って回収するまでが事業だからです。

ケース2

また、例えば「既存の機械を更新する。作業員の操作は問題ない」と聞くと、他社もその機械を入れているから、他社に対する優位性や事業自体の新規性はあるのだろうかという疑問が湧きます。
このケースは②です。

この場合は、工程全体を考え、当社全体の強みを考える必要があります。
例えば、溶接ロボットを購入したけど、既に他社も導入している場合、他工程も含めた品質の良さや、立地の良さによる短納期対応などで、他社に対する優位性をアピールする必要があります。
会社全体の強みを、総合的に考える必要があるためです。

まとめ

このように、どの事業もすべてカンペキであるとは限りません。
「際立った強みがあると、逆に弱みも必ずある」という気持ちで冷静に検証したいものです。

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フローとレーダーチャートをしっかり理解することで、お客様に対しても的確なアドバイスが出来るという事がよくわかりました!
太田先生、今回も有難うございました。
次回をお楽しみに!

 

 

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0から分かる補助金のはなし(2)補助金にはどんな種類があるの?

0から分かる補助金のはなし(1)補助金って何?

国の補助金には、たくさんの種類があります。
大きく分けると、経済産業省系と厚生労働省系に分かれます。

経済産業省系の補助金は、事業計画書の出来がポイントになる

経済産業省系の補助金とは、例えば以下のような補助金です。
これらは、その事業計画の優劣によって採用されるか不採用となるかが決まるので、採用されるためには、まず、申請するための要件(申請要件)を満たしていなければなりません。
それに加え、採択されるような事業計画を考えて決めなければなりません。
一般的に難易度が高く、採択率も低い傾向があります。

「創業補助金」「ものづくり補助金」「小規模持続化補助金」などがあります。

ちなみに、これらの補助金には、認定支援機関などの外部機関の支援が要件、というものがかなりあります。

厚生労働省系は、とにかく要件を満たしているかがカギ

厚生労働省系の補助金は「助成金」と呼びます。
一定の申請要件を満たしているかどうかによって採用か不採用かが決まるものです。
要件が満たされていれば交付される補助金のため、経済産業省系よりも採択率は高いといえます。

具体的には「キャリアアップ助成金」「雇用調整助成金」などの厚生労働省関係の助成制度があります。
これらの助成金は、主に社会労務士が申請を支援します。

まとめ

補助金や助成金は、うまく使えば経営の助けにもなり、素晴らしい効果を発揮します。
現在の自社の課題や問題点を分析することで良い申請書が作成できます。
なお助成金については、基本的には社労士に依頼するのがスムーズです。
みんなの助成金では、社労士とのマッチングも行っております!
お問い合わせはこちらから→専門家を探す

 

 

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経済産業省系補助金(ものづくり補助金等)採択のポイント(3)~良い機会があるから、良い機械~

太田先生のこれまでのコラムです。
最初からお読みいただくと理解が深まります!

経済産業省系補助金(ものづくり補助金等)採択のポイント(1)~風が吹けば、桶屋が儲かる~

経済産業省系補助金(ものづくり補助金等)採択のポイント(2)~百文は一図に如かず~

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採択のポイント(1)で「業績アップのストーリー」の重要性を、「風が吹けば桶屋が儲かる」に例えてご説明しました。

とはいえ、非採択者のほうが採択者よりも多い補助金申請の世界です。
業績アップのストーリーをもう少し詳細に、かつ論理的に説明していく必要があります。

業績アップのストーリーを図式化してみると

そこで、下図を何回かに分けて説明します。まずは「①と②⇔③」の流れです。

多くの事業者にヒアリングすると、ほとんどの事業者は③からスタートします。
すなわち「設備を買いたい」「三つ折りのリーフレットを作りたい」など。
ほぼ例外なく③からスタートです。

それはそれでもちろんいいのですが、なぜ自社にとって、③が必要かを説明する必要があります

良い機会があるから、良い機械

例えば、鉄骨工事業で溶接ロボットを導入したい企業があるとします。

なぜ溶接ロボットを導入するかといえば、それは、自社の業務効率化、問題解決のためといった「弱みの解決」のためか、自社の製造技術をより高めるためといった「強みの強化」のためか。
どちらか、または両方だと思います。

しかし、忘れてはいけないのは、「顧客の要請に応える」という視点です。

良い機会があるから良い機械です。

ものづくり補助金の審査基準では「市場ニーズ、ユーザー、マーケット、市場規模」とあります。
このあたりをきっちり書き上げることが非常に重要です。

顧客が高品質を求めているから、増産を求めているから、短納期を求めているから・・。
そして、そういった声を希望する顧客が他にもいるか。

顧客のための設備投資。
おおげさに言うと世のため、人のための設備投資であってほしいと思います。

次回は、やりたいことを冷静に評価する視点をお伝えします。

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太田先生、有難うございました!

弱みの解決なのか、強みの強化なのか、必ずいずれかの理由ですよね。
こうして考えると分かりやすいですね。

また次回もお楽しみに!

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経済産業省系補助金(ものづくり補助金等)採択のポイント(2)~百文は一図に如かず~

今回も、太田先生による実践的なコラムをお届けします!
前回のコラムはこちら

自分の事業をいかに分かりやすく伝えるか

補助金の申請書においてまず基本的かつ大切なことは、自分の事業をやったことがない審査員に、
自分の事業を分かってもらうということです。

私自身、補助金の申請書を数々支援しているのですが、大げさに言うと
「私が分からないものは、審査員が分かるはずがない」という気持ちでアドバイスしています。

ところが、文章でいくら書いてもわかりづらいことがあります。
自分で自分の事業を説明するのは意外に難しいものです。

そこで、「分かりづらいところは、図や表を使って示す」ことをお勧めしています。

上の図では、刃型を新規設備によって技術開発するイメージです。
この図がなければ、なかなか伝わりませんが、図で示すことで、一気にイメージが伝わります。

別の例でも説明しましょう。

下の図は、実際にものづくり補助金の申請の際に使用したもので、工程フローを図で示しています。

現状の問題点が設備投資を行うことによって解決できる様子がイメージできると思います。

百文は一図に如かず

大切なのは「分かりやすい図を作る」ということです。
「美しい図」「精緻な図」が必ずしも分かりやすいとは限りません。
図を作ったのはいいものの、図を説明するのに長い文章を費やしてしまい、結局分かりづらくなることが無いようにしたいものです。

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ものづくり補助金は、技術部分の説明が非常に難しく感じますが図解だと分かりやすいですね。
専門の立場の方の場合、つい一生懸命になってしまい、「図なのに難しい」ということに陥りがちですが
分かりやすさというのが本当に大事だなと思いました。

次回をお楽しみに!

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0から分かる補助金のはなし(1)補助金って何?

「補助金に興味はあるけど、よく分からない」
「どうすれば申請できるのか知りたい」
「誰でも採択されるの?」

そんな疑問をお持ちの方にお届けする「0から分かる補助金のはなし」シリーズです。

補助金ってなんだろう?

補助金とは、「申請することによって、国や地方自治体から受け取れる、返済不要のお金」です。
でも、申請すればだれでも受け取れるわけでは無く、審査に通過し採択されることが必要です。

補助金事業とは?

では、国がお金を交付する場合の「補助金事業」はどういったものでしょうか。
国は、取り組まなければいけない多くの政策目標について、それぞれ目標に合った計画(施策)を実施します。
「補助金事業」とは、その施策の中でも国が企業、民間団体、個人、自治体などにお金を直接交付する事業のことをいいます。
国はお金(補助金)を交付することによって、企業や民間団体、個人や自治体に取り組みが広がり、その効果によって、政策目標が達成されるという流れを作る狙いがあります。
現在では、民間企業や財団が手掛ける補助金も数多くあります。
いずれも、理念が明確になっており、その理念に合う事業が採択されます。

補助金のメリット・デメリット

補助金にはメリットとデメリットがあります。
それはどんなものでしょう?

メリット

  • 事業の様々な局面で資金負担、投資リスクを軽減することができる
  • 資金に余裕ができ、攻めの経営に取り組むことができる
  • 採択されることで金融機関等の信用度が増す

デメリット

  • 事業完了後にわりと短期間で報告書を提出しなくてはならない(ものにもよるがかなり大変)
  • 報告書の提出後審査があり、最終的な支給金額が確定するので必ずしも満額出る訳ではない
  • 原則後払いなので、事業を行うにあたって資金の手当てが必要になる

次回からは、細かくその内容を見ていきます。

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経済産業省系補助金(ものづくり補助金等)採択のポイント(1)~風が吹けば、桶屋が儲かる~

今回から、これまでものづくり補助金を始めとする経済産業省系の補助金で高い採択率を誇る
株式会社エイチ・エーエル取締役副代表の太田敬治先生による補助金コラムが始まります!

難関補助金に必須の大切な考え方など、とても参考になります。
ぜひご覧ください!

はじめに

ものづくり補助金や持続化補助金などの経済産業省系の補助金は、審査があります。
競争の世界なので、必ず採択するという保証はありません。
しかし、過去の支援において8割以上の採択率を維持してきたなかで、経験を踏まえ意識してきたのは「業績アップのストーリーを考える」ということです。

風が吹けば、桶屋が儲かる?

風が吹くと土ぼこりがたって目に入り盲人が増える。
盲人は三味線で生計を立てようとするから、三味線の胴を張る猫の皮の需要が増える。
猫が減るとねずみが増え、ねずみが桶をかじるから桶屋が儲かって喜ぶ。

補助金申請も、似たようなものかもしれません。
設備を買ったら、顧客が満足して、売上が上がる。
設備を買ったら、コストが下がり、原価が下がる。
結果、業績が良くなる。

補助金支援の最初に必ずこの図を書きます。

そうすると「生産性が上がる」の流れはイメージされる方が多いのですが、下の「売上が上がる~」の流れが未確定の方が意外に少なくありません。 

設備を買えば、業績が上がる?

本当に風が吹けば桶屋が儲かるかは分かりません。ただ、少なくとも補助金の申請の前、この流れをきっちり説明できることが基本です。

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数多くの申請書を見て来られた先生ならではの視点だと思います。
ものづくり補助金などで、売上を上げたい、だから設備を買いたい・・。
これでは、その先の道筋が見えにくいですよね。
太田先生、有難うございました。
次回のコラムもお楽しみに!